お掃除コラム:汚れ落とし辞典と頑固汚れのコツ

汚れの種類は多種多様にあり、汚損はそれぞれの性質に合った洗剤をあてがう事でキレイがよみがえるというところは、みなさんすでにしっかりと学びましたね。

下記では、汚れと液性の力関係をまとめ、用意するべき洗剤を分かりやすく辞典にしています。

これさえ知っておけば、1年を通してラクに掃除ができますので、ぜひ活用してください。

汚れ落とし辞典

汚れの種類と汚れ落としに使う洗浄剤・道具をまとめ、適切な掃除方法について簡単に記載しています。
ナチュラル派合成洗剤派、どちらのタイプでも活用できます。

油汚れ

◆コンロ・グリル

ナチュラル洗剤:重曹・セスキ炭酸ソーダ・過炭酸ナトリウム

アルカリ性である重曹水(重曹小さじ1/2:40℃のお湯1カップ)やセスキ炭酸ソーダ水(セスキ炭酸ソーダ小さじ1/2:水1カップ)をスプレーし、油汚れを浮かし拭き取る。
五徳のこびりつきは過炭酸ナトリウムで煮洗い、もしくはつけ置き洗いをする。

合成洗剤:酸性洗剤・酸素系漂白剤

軽い汚れは酸性洗剤を使用し拭き取る。五徳など取り外し可能なパーツの頑固汚れには、酸素系漂白剤で洗浄液(酸素系漂白剤40g:40℃~50℃のお湯5ℓ)を作り、つけ置き洗いをする。

◆調理家電(オーブントースター・電子レンジ)

食品を入れる家電では、ナチュラル洗剤を使用します。

ナチュラル洗剤:重曹・セスキ炭酸ソーダ

オーブントースター・・・外れるパーツは重曹パックでつけ置き、もしくは重曹を粉のまま振りかけスポンジでこすり落としていく。

電子レンジ・・・重曹水を含ませたタオルをレンジに入れ、1分ほど加熱した後、冷めるのを待ってからそのままタオルで汚れを拭き取る。

◆キッチン壁

ナチュラル洗剤:重曹

重曹パックで汚れを浮かし、緩んだ油汚れをタオルで拭き取る。
キッチンペーパーに重曹水を含ませ、汚れが気になる場所で密着させるように壁に貼り付ける。
その上から食品用ラップフィルム(サランラップなど)で密閉させれば、重曹の性質であるアルカリ性が油汚れを分解してくれる。

合成洗剤:アルカリ性洗剤

酸性汚れを中和・分解するアルカリ性洗剤をスプレーで吹きつけ、油脂汚れ、皮脂汚れをこすり落とす。

水あか汚れ

◆キッチンの小物類

ナチュラル洗剤:クエン酸

水切りカゴや箸入れ、ステンレス製のものに発生する水あかは、クエン酸水(クエン酸小さじ1/2:水1カップ)をスプレーし、タオルで拭き取っていく。
抗菌効果もあり水回りで役立つ洗浄剤ですが、塩素系の洗剤と混ぜると有毒ガスを発生させるため使用時は注意が必要。

合成洗剤:酸性洗剤

キッチンペーパーに酸性洗剤を浸し、水あか汚れが気になる場所をパックする。軽い汚れであれば、ブラシなどに洗剤をつけそのままこすり落とす。
最後にマイクロファイバークロスで仕上げ磨きを行えばピカピカに仕上がる。

◆バスルームの小物類

ナチュラル洗剤:クエン酸・過炭酸ナトリウム

風呂おけやイス、こどものおもちゃなどに付着する水あか汚れは、軽度であればクエン酸水を使用しぬめりを洗い落とす。
まとめて洗いたい場合は、風呂釜の給湯口から5cmほど上にお湯を張り、過炭酸ナトリウム2カップを投入。
追い炊きで温度(40℃)を維持しつつ、小物類をつけ置きすれば”汚れ落とし+除菌効果”が期待できる。

合成洗剤:酸素系漂白剤

風呂釜の給湯口から5cmほど上にお湯(40℃)を張り、お湯150ℓ、酸素系漂白剤400gを入れ追い炊きボタンを押す。
小物類をすべて投入し、そのまま8時間ほど放置。最後はお湯を流して完了。

◆鏡・シンク

ナチュラル洗剤:クエン酸

水あかが気になる場所にクエン酸水をスプレーし、キッチンペーパーでパックする。
その上から再度クエン酸を吹きかけ5分ほど放置。
パックを取り、水でしぼったぞうきんで拭きあげる。
最後にマイクロファイバークロスで仕上げ磨きを行う。

合成洗剤:酸性洗剤

キッチンペーパーに酸性洗剤を浸し、5分ほどパックを行う。
ペーパーを外し、汚れが目立つ場所をブラシで軽くこすり落とし水で流す。
スクイージーで水気を取り、乾いたタオルで仕上げに拭き上げる。

カビ汚れ

ナチュラル洗剤:重曹・過炭酸ナトリウム・アルコール

カビの発生を抑える最善の方法は予防にある。
アルコールを使用し日々のお手入れがとても重要だと言える。
パッキンやシャワーホースに発生したカビは過炭酸ナトリウムのアルカリ性を利用し、漂白・除菌を行う。
過炭酸ナトリウムをお湯で溶かし、そのままパックをし1時間程度放置。
パックを取り、最後は水で流す。

合成洗剤:塩素系漂白剤

塩素系漂白剤小さじ1に対し、水500mlの洗浄液を作る。
キッチンペーパーに液を浸し、パッキンや目地に沿って汚れ部分を覆ったら、その上から食品用ラップフィルム(サランラップなど)で密閉する。
1時間から1日放置し、最後はにおいが消えるまで水で流す。

尿石汚れとトイレの悪臭

ナチュラル洗剤:重曹・クエン酸・アルコール

重曹を粉のまま便器内に振りかけ、ブラシで汚れをこすり落とす。
尿石汚れが溜まる部分にはキッチンペーパーでクエン酸パックを施し、その上からさらにクエン酸スプレーをかける。
トイレの悪臭はアンモニアが原因であり、アンモニアを打ち消すクエン酸を使用することで臭い消しにも効果がある。

合成洗剤:酸性洗剤

酸性洗剤を便器内にまんべんなくかけ、キッチンペーパーでパックを行う。
そのまま1~2時間放置し、パックを外す。
便器と床の境にも尿はねや尿石汚れがあるため、クレンザーでこすり落とし、酸性洗剤で拭き掃除を行う。
トイレの悪臭は尿石とセットであるため、きちんと汚れ落としができれば臭いの元を断つことができる。

頑固な汚れ落としのコツ

「正しい洗浄剤を使ってもどうしても落ちない!」そうした時には、温度や気温を意識してみましょう。
長い月日が経過し汚れが層になっている汚損は、頑固汚れとなり除去が難しいケースも多々あります。

こびりついた汚れは浮かして緩めたり、回数を重ねて徐々に掃除を行う事で効果が見えてくるものもあります。

頑固な汚れ落としのコツは、適切な掃除のタイミングを知ること工夫を凝らした洗浄剤の使用で対策が打てるため、予備知識を増やし実践していきましょう。

汚れ落としに最適な温度を知る

油汚れが気になるキッチン壁や調理家電内で飛び散った食べ物汚れは、放置するとやがてはひどい汚損となり不潔の象徴となります。

手を付けなければ頑固汚れに変化し悩みの種となりますが、
調理後の湯気や蒸気を利用し、室内温度が上昇しているうちに掃除を行うと、汚損は意外とスルリと除去できます。

汚れは湿度や気温が高まると自然と緩むため、緩んだタイミングでヘラや下敷きを使いこそぎ落とせば、こびりつきを除去することができます。
その後、タオルやぞうきんでひと拭きすればお掃除は完了です。

また洗浄剤の効果を高めるために、洗剤そのものを温める方法もあります。
特に合成洗剤は、湯せんで50℃程度まで温度を上げ使用すると洗浄作用が高まり、頑固汚れに最適のアイテムとなります。

回数を重ね時間をかける

掃除の中でも最も厄介な黒カビ汚れは、一度で汚れ落としができない場合が多いものです。
ナチュラル洗剤と合成洗剤では、化学成分を含む合成洗剤を使用する方がより効果的です。

パッキンや目地に発生する黒カビを撃退するためには、塩素系漂白剤のパックが最も有効な手段ですが、深く根を張った菌に洗浄剤の成分が行き届くには時間を要します

そのため何度か同じ工程を踏み、しっかりと洗浄成分がカビ菌を殺菌するまで根気よく続けていくことが大切です。
塩素系漂白剤は洗浄力・殺菌力ともに非常に強力であり、使用方法に注意しながらも回数と時間をかけ除去を行います

またここで覚えておきたいのは、黒カビのポツポツとしたスポットが、すでに染みとなっている可能性もあるという点です。
カビ菌は殺菌できたものの、スポット跡が残ってしまったという場合は、その後お手入れをしても消える事はありません。

素材の変質や染みは汚れとは異なるため、部品を取り替えるなどの方法に切り替えていきましょう。

家庭内にはびこる多くの汚れは、科学の力を利用し、また掃除の環境を整える事できちんと対処できるものです。
まずは簡単に作業が始められるところから実践し、掃除後の達成感や満足感を重ねる事で、クリーニングに対する自信をつけていきましょう

汚れとは科学反応そのものです。
”洗浄剤の選び方と使い方次第で、キレイは必ずよみがえる”というポジティブな気持ちを1つのモチベーションに、お部屋の清潔を保っていきましょう。