
バスルームの天井で発見するカビや、どれだけ磨いても落ちない頑固汚れ、排水溝にべっとりとついたぬめりは、プロでなければ対処できないと思っていませんか?
実はお掃除のプロが使う薬品や道具は、そのほとんどが家庭にある常備品で代用できるのです。
「あらゆる洗剤を試したけれどダメだった」という経験は、
汚れに対して誤った道具や洗剤を使用してきたためであり、
汚れの性質に対し除去できる成分をあてることで、きちんと磨き上げられます。
清掃業を生業とするお掃除のプロは、
科学に基づいた掃除術を身につけており、
汚れを除去する仕組みを理解しているため、
確実なクリーニングを行うことができます。
タイル目地に発生する黒カビ汚れは、
専用カビ取り剤を吹き付けても落ちないことがありますが、
これはカビの根が深く、洗剤が根元までしみ込まないためにカビ菌を消滅させられず起こる失敗例です。
垂直な壁には、液だれしないよう泡タイプのカビ取り剤が有効であり、
加えて洗剤を含ませたキッチンペーパーの上から、さらに食品用ラップフィルム(サランラップなど)を貼り付けパッキングを行います。
こうすることで不快な黒カビは消え、きちんとキレイがよみがえります。
汚れは落ちる仕組み(正しい掃除術)を身につければ、
誰もが簡単に掃除の成功体験を積み重ねられます。
成功体験はきれいをキープするモチベーション維持にも繋がり、
生活の好循環なサイクルが生まれるでしょう。
静電汚れ

家庭内のほとんどの汚れは、正しい掃除術でさっぱりと取り除くことが可能です。
しかしその一方で静電汚れについては、除去が難しくプロでも対処できない場合があります。
静電汚れとは静電気により誘発されるものであり、
洗濯機や冷蔵庫、テレビなど家電製品の裏の壁に表れる黒っぽい汚れを指します。
普段確認しづらい箇所であり、
引っ越しなどのタイミングで大きな家具を動かし初めて気づくことも多く、
対処が遅くなるために染みが濃くなっていく点も、汚れが落ちない原因です。
静電汚れは、家電製品の静電気が原因であり、水を使用して落とそうとすると黒染みがますます染み込むという悪循環に陥ります。
むやみに掃除に取り掛かれば、汚れを広げてしまうことになりかねません。
賃貸などでは壁に汚れが認められると、
修繕費として多額の費用を請求される恐れもあるため、
可能な限りきれいに取り除きたいところですね。
しかし静電汚れに関しては、一般的な掃除術では対応できないケースが多く、色々と方法を試しても元には戻らない事態もありえます。
汚れ予防

静電汚れのように元に戻らない汚れに対して、どのように対処していけば良いのでしょうか。
その答えは“汚れの予防”にあります。
静電汚れに限らず、防カビや防水など汚れに備えるだけで、
普段の家事が格段にラクになる点は掃除術の大きなポイントです。
例えば、一度ついてしまうと落としづらい静電汚れは、
壁と家電との距離を保つことや、壁と家電の間に壁紙やカーテンを一枚挟んでおくことで予防策となります。
また、洗濯柔軟剤に含まれる陽イオンタイプの界面活性剤が静電気を反発させることから、柔軟剤をスプレーするといった対策も有効です。
掃除術は家庭内の清掃を効率的に行うだけに留まらず、予防対策も重要なポイントです。
物が汚れないよう工夫すること、この部分を考えることも掃除術の基本として覚えておきたいところです。
掃除の心得
- 掃除は“簡単・時短・楽チン”の3原則できれいの維持が可能
- 掃除は家事としての作業に留まらず心を整える時間になる
- 掃除とは心の健康と密接に関係する
- “汚れの性質”を理解すればほとんどの汚れが除去できる
- 正しい道具と洗剤を使う事で掃除の成功体験を増やしモチベーションを保つ
掃除は人の心にハリと潤いを与える意味のある時間です。
リフレッシュ効果や心の安定、生活にメリハリをつけるなど
メンタルヘルス面での要素も大きく、掃除の意義自体も気持ちを整えるというところに繋がります。
近年清掃業の市場規模は右肩上がりに成長しており、需要の拡大は未だ伸び続けている段階です。
それに伴いお掃除のプロを目指す方々も増加傾向にあり、専門知識を持ち活躍する人も多く見られます。
掃除の最終的な目的は、人の気持ちを明るくし、快適な生活のために行われる空間づくりです。
自宅やお客さまの家をきれいにし、心の豊かさを育む心構えが心身の健康を下支えし、
きれいに整えられた住空間が笑顔を増やしていくでしょう。

Lesson1では、掃除の概念やその最終的な目的について学んできました。
今までそう深く考えてこなかった方も、掃除の本来の意義や意味を理解できたのではないでしょうか。
Lesson2では”掃除がもたらす心の変化”に焦点を当て、日々の忙しい生活のなかでも継続できるハウスクリーニングを目指すためのヒントを探っていきます。
掃除がポジティブなライフワークとなる考え方について、知識を深めていきましょう。