
多くの人にとって掃除は“雑務”ではないでしょうか。
特に子育てに仕事と忙しい世代にとっては、「できればやりたくない」というのが正直な感想としてあると思います。
禅の教えにある“掃除は心のゆとりに繋がる”という意識で、
ライフワークとして取り入れられたなら気持ちもラクですが、
実際のところはなかなか難しいものです。
では、なぜ掃除という作業が面倒であると感じてしまうのでしょうか。
部屋をきれいにするという目的を達成するのですから、
本来であれば積極的に取りかかっても嫌な気分にはならないはずです。
日々の掃除にストレスを感じる原因は、恐らく苦手意識や清潔を保たなければならないというプレッシャーからではないでしょうか。
例えば家事を一手に任される専業主婦であれば、部屋に掃除機をかけ床を拭き、水回りのごみを黙々と回収し、家じゅうをきれいに保つ。
この全てをきちんとやらないといけないという責任感を、どこかで感じているかもしれません。
風呂場でピンクカビを発見したなら、冬でも水や専用洗剤でこすり、自分の大切な時間を費やして地道にカビ菌と格闘することになります。
仕事であれば働きに対し報酬という対価がありますが、家事はそうではありません。
かかる労力や苦労が数値化されないために、疲れ切ってしまうのです。
掃除が苦手というマイナスなイメージの裏には、モチベーション維持の難しさが大きく関係していると言えるでしょう。
優良企業に見る5S活動

一流と呼ばれる多くの企業では社内の整理整頓が行きわたり、仕事を進めるのに適した環境が整えられています。
職場環境の良し悪しは、社員の仕事へ向かう姿勢に大きく影響するばかりか、会社の業績にも直結するからです。
例えば共同で使うはずの事務用品が紛失すれば、一時的に作業は止まり生産性が下がります。
動線が考えられた物の配置や、清潔感が感じられる仕事場では、働き手の気分も爽快であり、メリハリある会社生活を送ることができるでしょう。
建設業や製造業の現場では、度々5S活動の徹底がなされています。
5Sとは、“整理・整頓・清掃・清潔・しつけ”の5項目を表します。
職場環境を整えるための大切な要素として、病院や美容室、ガソリンスタンドなどあらゆる業種で採用される活動です。
しつけというのは、整理・整頓・清掃のいわゆる“3S”と呼ばれる内容を習慣づけするための社員教育や指導を指しており、社内の環境整備が企業にとって重要であることがわかります。
家庭内の5S活動

会社が5Sを採用する理由は、作業能率のUPや安全性の確保、社員のストレス軽減などが上げられます。
実はこれは家庭内でも同じことが言え、
キレイを保ち明るさを取り入れることで、
家族全員がスッキリとした気持ちで毎日を快適に過ごせるようになるのです。
億劫だと思える掃除ですが、塵やほこりを除き新しい空気を取り込むことは、
自分自身を整え意欲を向上させることにも一役買います。
人は何か新しい事を始めようとするときに、脳内でドーパミンが分泌されます。
これは快楽として認知されるものですが、
実は掃除後にもドーパミンが分泌され、日常生活のモチベーションを上げてくれます。
身の回りが整った状態は、脳に安定感を覚えさせ、それがチャレンジ意欲となり生活の質を上げていくのです。
水回りや部屋回り、玄関など
「掃除をしなければ」と焦燥感に駆られるのではなく、
自分の運気を上げていくための数十分と考えれば、掃除も苦にはならないかもしれません。
禅の教えでは掃除に深い意味を見出していますが、信仰心に関係なく、その意義は内面の美しさに繋がります。
毎日家じゅうをピカピカに磨き上げるというのではなく、
どちらかと言えば作業はラクに短時間で終わらせて、
掃除から得られる満足感や達成感、爽快感など気分に関わる部分を味わうことで、前向きな生活習慣を作り出すことが大切なのです。