Lesson7-5 お客様に喜ばれる仕組みづくり 

お掃除ビジネスの種類には、家事代行やクリーニングサービスなどがあり、一般家庭のクリーニングを請け負うだけでなく、オフィスの清掃作業を任されることもあります。

清掃業のライバル会社があるなかで、何度も選ばれるお掃除ビジネスを確立するための仕組みづくりを積極的に行っていきましょう。

依頼者に喜ばれる小技

人気のお掃除プロは依頼者に喜ばれる仕組みづくりを行い、次の仕事に繋がる工夫をしています。それは掃除の技術とは別に、小道具や小技を用いることでお客様に気に入られるよう仕掛けを用意するのです。

仕掛け1 掃除前と掃除後の比較写真を撮る

業者に掃除を依頼するお客様は、普段の生活が忙しく家事に手が回らないといった方や、掃除が苦手、年を重ねたことで思うように作業ができない方が多くいらっしゃいます。
「蓄積された汚れをどうにかしたい」という強い思いに応えることがお掃除プロの仕事ですが、
クリーニングの依頼を受けた際には”掃除前と後との比較写真”を見せる事で、大きな感動を与える事ができます。

油でギトギトになったコンロや、黒カビが発生しているキッチン壁など、
掃除箇所のビフォーアフターをお見せすることで「掃除を依頼してよかった」と思って頂けます。

写真を撮るときは汚損の酷い部分や、普段見えない部分の汚れも写真に収めると掃除後のインパクトが強く残ります

一度信頼を得れば、その後リピーターとなり人づてに紹介をして頂けることもあるため、デジカメの持参はマストだと言えるでしょう。

仕掛け2 サービスで差別化する

掃除を依頼する方にとって、家がきれいになることは当たり前のことです。

カビや水あかがサッパリと取り除かれ、清潔な空間がよみがえる事を想像し依頼をするため、お客様の期待を裏切らない仕事を行うのは当然と言えるでしょう。

ここで大切なのは、ライバル会社とサービス面で差をつけることです。

お客様の立場に立てば、目的を達成してくれるのならば、どの掃除業者に頼んでも同じことです。
選ばれるお掃除プロを目指すのなら、他社とは違うサービス誠意が伝わる姿勢を見せ差別化を図っていきましょう。

例えば風呂場掃除の依頼を受けたなら、洗面台回りも一緒に掃除をするなどです。「お風呂の排水口を掃除するついでに、洗面台の排水口も一緒にきれいにしましょうか。」ご提案をします。
この際”サービスで”と一言加えれば、お客様はお得感を感じたり、好印象を抱くきっかけとなります。

作業を行うにあたり簡単な掃除やついで掃除で完了するものは、
サービスとして積極的に取り込み、付加価値を提供するかたちでお客様満足に繋げていきましょう

掃除プロが実践するスゴ技

汚れの性質や液性の特徴を理解し、確実な汚れ落としを可能とするお掃除プロは、スゴい技を身につけています。
実践で役立つスゴ技3つを確認していきましょう。

スゴ技1 空間の透明度を意識する

お掃除プロとして気を使いたいのが、掃除後に感じられるお部屋の透明度です。

透明感を感じられる空間ができあがったなら、お客様は明るくなった部屋に感動を覚えるでしょう。

整理整頓が行き届いた部屋では、清潔感が保たれている印象を受けますが、掃除事業では特に視覚的な結果が顧客満足に繋がります

そのためキレイの演出を追求することが大切です。

部屋の透明度を上げるためには、窓の掃除を徹底して行ったり、照明器具のお手入れが欠かせないところです。
窓掃除の際は内側と外側で使用する洗浄剤は異なるため、手あか汚れが目立つ内側にはアルカリ性洗剤水あか汚れが主な外側は酸性洗剤でこすり落としていきます。

スクイージーでしっかりと水気を取り、最後にマイクロファイバータオルで磨けば、室内は見違えるほどの明るさと透明感が感じられます。
掃除後のビフォーアフターを体感してもらうことで、満足度の高い仕上がりとなります
網戸・シャッターなどは別途オプションを用意することで、ご依頼のボリュームも増していくかもしれません。

スゴ技2 普通の掃除では落ちないなべ底汚れを落とす

キッチン掃除を依頼される際は、調理器具に触れても問題ないかどうかをお客様に確認しましょう。
キッチン周辺では、コンロ周りや油で汚れた壁の掃除がメインになりがちですが、
こげつきで茶色く変色したなべ底の汚れも、磨けばピカピカに仕上がります。

なべ底の焦げ付きは仕方ないと思われるお客様が多くいるなかで、購入前と変わらないくらいきれいに汚れ落としができたなら、お客様が喜ぶのは間違いないでしょう。
鍋やフライパンの裏底掃除には、ラップたわしが有効です。

①酸性洗剤を鍋底の汚れ部分に塗布
②キッチンペーパーで5分から10分程度パッキングを行う
③キッチンペーパーを取り除き、鍋底の洗剤を拭き取る
④丸めた食品用ラップフィルム(サランラップなど)を用意し、クレンザーをつけながら汚れをこすり落とす
⑤マイクロファイバータオルで仕上げ磨きを行う

家庭内で発生する汚れは、洗浄剤と道具の選択次第で確実に落とせるものです。

キッチンの掃除を請け負う際には、1カ所サービスで掃除するなどの付加価値を加えきれいになった家電や調理道具をお見せすることでお客様満足度を高めるのも戦略です。

スゴ技3 掃除時間短縮のための工夫

家事代行・クリーニングサービスともに、限られた時間のなかで効率的に作業を行うことが求められます。
しかし、五徳やレンジフード、排水口に付着する頑固な汚れは、
時間をかけなければ汚損を除去できない場合があります。

そうした際にはつけ置きやパッキングを行い、こびりついた汚れのを浮かせ緩めていきましょう。

五徳:

アルカリ性洗剤でつけ置きし、汚れが浮いてきたところをへら状のスクレイパーでこそげ落とします。
それでも汚れが緩まない場合は、五徳に洗浄剤をつけ食品用ラップで密閉します。
焦げ付きや油汚れが浮いたところをミニスクレイパーで取り除きます。

排水口:

酷い汚れが確認できる場合には、茶パットを使用します。
茶パットとは堅めのスポンジであり、強度の汚れ用として使われる掃除アイテムです。
排水口は普段手の届かない奥の部分にカビやぬめりがこびりついているため、はく離させるためにも茶パットの活用が時間短縮に有効です。

レンジフード:

油でギトギトに汚れるレンジフードは、普段の掃除では手が行き届かない場所であり、依頼を受ける頻度の高い清掃箇所です。
長年蓄積された油汚れは凝固しており、つけ置きすることで汚れを浮かせゆるめるところからスタートします。
60℃程度のお湯を用意し、湯4ℓ:酸素系漂白剤30gの比率で洗浄液を作ります。
あとはつけ置くだけで、自然と汚れが落ちるため時間の節約になります。

お客様に喜ばれる仕組みづくりとは、ゆくゆくは自分の仕事を上手く回すための仕組みづくりとも言えます。

依頼者が求める仕事以上のサービスを提供することで差別化を図り、”選ばれるお掃除プロ”を目指していきましょう。