Lesson4-2 手ごわい”3大汚れ”を科学の力で落とす

今回のページでは、科学の力で掃除を楽に行う方法を学んでいきます。

掃除中、特に手がかかる汚れは油汚れカビ汚れの2つという方が多いようです。
加えて、生ごみやトイレの臭い、たばこ臭に悩む家庭も多々見られます。

この厄介な汚れへの対抗策として科学の力をぜひ使っていきましょう。
化学変化の危険性を念頭に置きつつ、安全で簡単に行える汚れ落としについて実用的な知識を深めていきます。

【油汚れへの対策】

◆洗剤: 重曹水またはセスキ水 (頑固汚れには過炭酸ナトリウム)・せっけん

◇道具: キッチンペーパー

<油汚れの特徴> 

・空気に触れると酸化し埃やチリと混ざり合うことでベタつき汚れに変わる

・油の付着を放置すると加熱するたびに固くなる

油汚れが厄介である理由は、粘着性である油脂が空気中の埃を呼び寄せ、べたべたの頑固汚れに変化することです。
料理により飛び散る油は徐々に酸化しますが、液体だった油脂が個体(こびりつき)となり、それが原因で汚れ落としに苦労するのです。


<解決方法>

・軽度の場合→ 重曹水またはセスキ水でスプレーし拭き取る

・重度の場合→ 重曹パックまたは過炭酸ナトリウムで煮洗い(つけ置きも可)


汚れが軽いものであれば、重曹水やセスキ水スプレーを吹きかけ、拭き取れば掃除は完了です。
頑固汚れの場合には、重曹水をキッチンペーパーに沁み込ませ、パッキングを行うことで汚れを浮かせやすくします。

コンロや換気扇フィルターなど取り外せる部品は、過炭酸ナトリウムを用いて煮洗いまたはつけ置きで汚れを除去していきます。

<洗剤の作り方と使用法>

重曹水・・・重曹小さじ1/2を40℃のお湯50mlで溶かす

セスキ水・・・セスキ小さじ1/2を500mlの水で溶かす


過炭酸ナトリウム煮洗い・・・料理鍋にパーツが浸かる程度の水を入れ過炭酸ナトリウム小さじ1を投入。液体せっけん小さじ1を加え鍋に火をつける。沸騰後火を消しつけ置く。

【カビ汚れへの対策】

◆洗剤: 塩素系漂白剤

◇道具: スポンジ(柄がついたものが使いやすい)・キッチンペーパー

<カビ汚れの特徴>

・ピンクカビは市販の洗浄剤や重曹で簡単に洗い流せる

・黒カビは菌糸が根を張り、洗浄剤を内部までしみ込ませなければ撃退することができない


見れば陰鬱な気分になる黒カビですが、一度菌が根を張ると除去するのに時間がかかる点が、黒ずみカビ汚れの大きな特徴です。

カビは細菌であり、繁殖を繰り返すことで住処を広げ、気づけば落とすことのできない重大な汚れとなります。
喘息やアレルギー疾患の原因にもなる危険性を秘めており、すぐにでも撃退したい汚れです。

<解決方法>

軽度の場合→ ぬめりを伴うピンクカビは、こすり洗いで簡単除去が可能

重度の場合→ 専用カビ取り剤もしくは塩素系漂白剤を使用し、カビの根を殺菌する必要がある


市販されるカビ取り剤の主成分は、そのほとんどが次亜塩素酸カリウムであり、塩素系漂白剤と同様の成分を含んでいます。
塩素系漂白剤は強力洗剤であり、カビを根元から滅菌するためには最も有効です。
カビ菌に対し、洗浄剤がしみ込むよう泡タイプのカビ取り剤を用いるか、
垂直な壁に対して液だれしないようキッチンペーパーでパッキングを行うことが効果的です。

<洗剤の作り方と使用法>

塩素系洗浄剤・・・塩素系漂白剤小さじ1に対し水500ml(一般家庭の浴室を想定)


洗浄剤の効果を高めるために、掃除するポイントの水分はすべて拭き取ります。ゴム手袋を装着し、スポンジに洗浄剤をしみ込ませたあと塗り広げ、カビが目立つ場所はキッチンペーパーでパッキングを行います。
15分程度放置した後に再びスポンジでこすり洗いをし、最後にシャワーで流せば完了です。

※塩素系は酸と混ざり合うことで猛毒の塩素ガスを発生させます。取り扱いには十分な注意が必要です。

【たばこ・生ごみ・トイレなど臭いへの対策】

洗剤: 重曹水またはクエン酸水

<臭いトラブルの特徴>

・塩基性であるタバコ臭にはクエン酸水が有効

・トイレやペットが原因であるアンモニア臭にはクエン酸水が有効

・布類につく酸性の臭いには重曹水が有効


たばこの煙の成分中には、人体に被害を及ぼす有害物質が含まれており、そのうちの一つはシックハウス症候群の原因になるホルムアルデヒドです。

たばこの悪臭は塩基性をもつため、対抗する洗剤としてクエン酸水を使用します。
塩基性の汚れには酸性洗剤が有効であり、臭いに関してもこのルールは適用されます。
リビングやキッチンに残る気になる臭いは、そのほとんどが酸性であるため、
酸性汚れを打ち消す重曹を使用すると良いでしょう。

<解決方法>

軽度の場合→ 重曹水やクエン酸水でスプレー

重度の場合→ 臭いの基である場所の掃除(過炭酸ナトリウムで煮洗いまたはつけ置きなど)

<洗剤の作り方と使用法>

重曹水・・・重曹小さじ1/2を40℃のお湯50mlで溶かす

クエン酸水・・・クエン酸小さじ1.5に対し水1カップを混ぜる


悪臭が家じゅうに漂っていては、快適な生活を守ることはできません。
臭いの原因は色々とありますが、中には一度染みつくとなかなか取れない性質のものもあり、早めに手段を講じることでお部屋の清潔感を保つことがポイントです。

今回のページでは、科学に基づく汚れの除去方法について学びました。

物質と物質が結合することで生み出される汚れですが、反対の性質を持つ洗剤で問題を解決していくことが理解できましたか。

しかし、汚れとは本来早めに掃除を行うことができれば、そもそも省力で作業ができるという点も忘れてはならないところです。

次のページでは”実践したい汚れ予防”と題して、合理的な汚れ予防術について理解を深めていきます。