
汚れはついたら落とすものですが、前述した通り、
付着する前にある程度の予防策を講じることで、掃除自体がぐんとラクになります。
科学の力を利用して掃除をするのは、決して掃除中だけに留まりません。
家具や部屋が汚れないよう先手を打つ際にも、科学の力は大いに役立ちます。
このページでは、汚れ予防について科学の視点から知識を深めていきます。
予防策に使う洗剤の数々も家庭で簡単に揃うアイテムなため、ぜひ積極的に実践していきましょう。
バスルーム掃除の予防策

家じゅうの全てを見渡してみたときに、最も掃除が億劫だと思う場所はどこでしょうか。
浴室と答える方はおそらく大勢いることでしょう。
水回りではカビやバクテリアの繁殖が盛んに行われるだけでなく、
多様な成分を含む洗剤を使用することが排水溝のぬめりや詰まりの原因を生み、掃除をするのに手間と労力がかかります。
またバスルームでは、床や壁、天井といった平面を対処する工程と、
シャワーや鏡、排水溝、こどものおもちゃなど、パーツごとの掃除も怠ることはできません。
一度カビを発生させてしまうと除去に時間がかかり、掃除がとても大変なものになってしまいます。
浴室掃除を気持ちよく行うためには、日々の予防が何よりも大切であり、
日頃のルーティンに3つの作業を加えるだけで、きれいで快適なバス空間が持続します。
【カビを発生させない3か条】
- 浴室を乾燥させる
- 週に1,2回、45℃以上の高温のシャワーを床・壁・天井にかける
- 入浴後は排水溝にたまった髪の毛やせっけんカスを取りきる
<浴室乾燥>
カビは水気を好み、また20℃以上の温度が繁殖しやすい環境であるため、お湯を張った状態の浴室はカビ菌にとって最適な状況となります。
そこで換気扇や浴室の窓を開けることで室内を乾燥させ、湿度を下げましょう。
このとき浴槽にお湯が残っていると風呂釜のなかで菌が増殖していきます。残り湯はできるだけ放置せずに、入浴後に流すことをオススメします。
<高温のお湯をかける>
カビは45℃以上のお湯で不活性化するため、週に数回熱シャワーで流すと清潔を保つことができます。
高温であるため蒸発も早く、カビ菌を抑制させる効果は大きいため、
床や壁、天井といった平面に熱めにしたシャワーをかけ、雑菌の発生を防ぎましょう。
<入浴後のごみ取り>
入浴後は髪の毛やせっけんカス、シャンプーの泡などが排水溝に残ります。
こうしたゴミはやがてカビのエサとなり黒ずみカビ汚れやぬめりの原因となります。
掃除をする際に、排水溝に蓄積したゴミの山を見るのは気持ちの良いものではありませんよね。
浴室を使用後にはその都度、髪の毛などを取り除きゴミキャッチャーなどの受け皿をスポンジで軽く洗えば、お風呂掃除は手軽に終えることができます。
最近では、撥水加工の壁やフッ素コーティングされた床など、汚れ予防に一役買う材質も増えています。
こうした便利な素材を活かすのも一つの手だと言えるでしょう。
キッチン掃除の予防策

キッチン周りでは油ハネや水あか、シンク内の排水溝汚れ、その他食器棚や食洗機など広範囲にわたり対処するべき作業があります。
すべてを一度に終わらせようとすると、モチベーションもなかなか上がらない掃除スポットです。
キッチン掃除は、料理後のちょっとした小ワザで対処していきましょう。
こちらでは最も厄介な油汚れ予防について、予防策のポイントとなるワザを見ていきます。
【油汚れを防ぐ3か条】
- 調理方法を工夫する
- 中性洗剤を馴染ませたキッチンペーパーで調理前にコーティング
- 蒸気を利用した10秒拭き掃除
<調理方法の工夫>
料理に油の使用はつきものですが、天ぷらやから揚げなど揚げ物のあとのキッチンは後処理も大変です。
調理の際の油ハネは壁だけでなく、床や近くの家具など周辺のものにまで飛び散り、放置を続けるとギトギト汚れとなり掃除に手間がかかります。
油ハネを極力防ぐ調理方法として以下の3点を気にかけるようにしましょう。
- 油ハネ防止グッズを利用する
- 食材の水分を拭きとる
- シシトウなど中が空洞の野菜には切れ込みをいれ破裂を防ぐ
1.レンジガードやオイルスクリーンを利用し、広範囲に油が飛び散らないよう防止します
2.熱した油に水が触れると、水分は水蒸気となり膨張して爆発します。
飛び跳ねた油は高温であり、触れると火傷を負うなど危険性の高いものです。
そこで食材を油で熱する前に、キッチンペーパーでよく水分を拭き取りましょう。
余分な水分を除くことで油ハネを抑え汚れを防ぎます。
3.シシトウやおくらなど中が空洞の野菜は、その形のまま火にかけると、中の空気が膨張を始め破裂します。
そのため素材に切れ込みを入れ、空気が逃げる隙間を作ることで破裂を防ぎましょう。

<調理前に中性洗剤でコーティング>
油をつかう料理をする際は、中性洗剤を馴染ませたキッチンペーパーやふきんで、油ハネが懸念される個所を事前に拭いておくと汚れ落ちが非常に簡単なものとなります。
特に不飽和脂肪酸は酸化しやすい油脂であり、酸化後は個体となって頑固な汚れに変化します。
洗剤でコンロ周りや調理台をコーティングすることで
洗剤の膜ができ、汚れを吸着させるため、
調理が終了したと同時に今一度ふきんなどで拭き取れば、油ハネを一掃できます。
<蒸気を利用した10秒拭き掃除>
油汚れは、料理中にはその蒸気によって汚れが浮いた状態になっています。
そのため、汚れが除去しやすい環境が整う料理のすぐ後に、
重曹水やアルコールでサッと拭き掃除を行うだけで油の飛沫が除去できます。
キッチン壁やコンロ周辺はスチームされた状態であるため、
料理後の10秒で拭き掃除を行えば
嫌なこびりつき汚れやギトギト汚れに出くわすこともありません。
油汚れは時間の経過とともに、力加減も変わってきます。
”対処は早いうちに”が基本ルールであり、日々の小ワザが楽な掃除につながるのです。
このページでは家の中でも特に汚れの気になる代表的な2箇所の汚れ防止策について学んできました。
次のページでは、水回りの大敵、排水溝のヌメリ汚れ予防について学びます。
見るだけで嫌になるヌメリ汚れですが、科学を使った意外な方法でキレイを持続していきましょう。
