
ここからは、お掃除のプロが実際にお客様のご自宅で実践する掃除術を学んでいきます。
これまでは掃除の神髄に迫り、メンタルヘルスやモチベーション維持への心構えや、科学的な観点といったところに触れてきました。
Lesson5・Lesson6では掃除の技術について実践的な内容を進めていきます。
プロには時間という制約があるため、より効率的な作業が求められます。
道具や洗浄剤を駆使し、理に適った方法で汚れ落としを実行していく掃除術は、日々の生活で必ず役立つでしょう。
身につけておきたい”掃除の技術”について、ぜひ楽しみながら学んでいきましょう。
水回りとは
家庭内における水回りとは、キッチン・バスルーム・洗面所・トイレといった水を使用する場所を指します。
家族のだれもが使う場所だからこそ汚れも発生しやすく、毎日のこまめな掃除が大切だと言えるでしょう。
水ハネで曇りがかった洗面所の鏡や、
洗濯機が設置してある場所で見え隠れする綿埃、
手あかや油で汚れたコンロや収納扉も水回りで多く見られる汚れです。
こうした汚損の放置を続け、重症化していく様子を眺めていては精神衛生上もよくありません。
排水口汚れや水あかなどの汚れ落としに、
モチベーションが上がらないというのは多くの人の悩みですが、
一方で掃除後の達成感や満足感を感じやすいのも水回り掃除の特徴です。
蛇口やシャワーなどステンレス製の器具などは、
正しい方法で磨けば驚くほどピカピカに仕上がるため、
掃除への前向きな気持ちがお掃除習慣をつくり上げるでしょう。
キッチンやサニタリーで見られる汚れ落としについて、具体的なワザとともに掃除のコツも確認していきましょう。
水回りの汚れ予防

水回りの汚れは多くの方法で予防が可能であり、
少しの工夫で汚損の重症化を防ぐことができます。
キッチンやバスルームなど生活に大きく関わるスペースだからこそ、
キレイを保つために積極的に取り組みたい予防策を学びましょう。
予防策① 水分を残さない
水回りでは水あかやカビ汚れ、ヌメリといった細菌汚れが多く見られます。
こうした汚れの発生には水分が大きく関係しており、台所や浴室使用後に残される水滴やせっけんカスなどが厄介な汚損の原因となります。
水滴を拭き取り、できるだけ湿度の低い環境を維持することがバクテリアの繁殖を防ぎ、また水あかを残さずキレイが持続します。
予防策② 油ものの調理時はキッチンマットを敷かない
キッチンマットを敷いているご家庭もありますが、
広範囲にまで飛び散る油ハネやその他食べ物汚れ、
皮脂汚れなどが付着するマットは汚れの温床になっている可能性があります。
油ハネでマットの繊維に油脂が固着し、スリッパや素足で踏めば床全体に油汚れが広がります。
油ものを調理する際は、新聞紙など捨てられる紙類をマットとして代用することで省力掃除を目指しましょう。
予防策③ 換気扇は調理の5分前から回す
調理の5分前から換気扇のスイッチを入れ、調理前に空気の流れを作りましょう。
料理を開始した直後の油煙は、外へ流れ出る空気の流れに乗らなければ室内に漂い、臭いの原因となります。
湯気が立ち込めると湿度が上がり、油汚れをエサとする菌の増殖にも繋がるため、換気扇を有効活用しましょう。
予防策④ 浴室の小物はひっかける
浴室掃除の大敵はヌメリやカビによるバクテリアの汚れです。
湿度が高くなるバスルームでは壁や天井、排水口に加え、
イスやシャンプーボトルなど小物類の底にピンクカビが発生します。
水滴を拭き取るのが最も効果の高い予防策ですが、毎日こまめに拭き掃除を行うことは難しいものです。
そこで、浴室にある小物類はS字フック等を利用しタオル掛けに引っ掛けるなど、空間を利用した置き場の工夫をしていきましょう。
バスチェアの足も浴槽のふちに引っ掛けることで、接地面に汚れが溜まる事を防ぎます。
予防策⑤ トイレタンクに一工夫
普段掃除をする頻度の少ないトイレタンクですが、中を開ければそこは雑菌の温床です。
カビや嫌な臭いのもとはアルカリ性の性質を持つ重曹を使うことで、効果的に予防していきましょう。
粉状の重曹1カップをタンクの入口から注ぎ、一晩つけ置くだけのほったらかし作業で簡単に対応することができます。
つけおいた後は水を流しましょう。
次のページではキッチン周りの汚れについて、具体的な掃除方法を学びます。
準備しやすい道具や洗浄剤に始まり、
楽チン掃除を実現するための作業手順と清掃のコツなど、
生活に役立つ掃除ワザを学んでいきましょう。
