Lesson3-4 ナチュラル洗剤

ナチュラル洗剤は、使用方法と正しい素材選びで見事に汚れを除去することが可能であり、同時に汚れの発生予防にも一役買う万能アイテムです。

今回のページに登場する7種類の製品は、安価で購入しやすいといった点も魅力です。

「できれば天然ものにこだわりたい」
「幼児やペットがいるから合成製品は極力避けたい」
「化学成分を含むものが肌に合わない」

などの悩みを解決してくれるメリットも合わせて学んでいきます。

ナチュラル洗剤の種類

【重曹】・・・弱アルカリ性洗剤

♦用途:コンロ・グリル・冷蔵庫・電子レンジ・床・窓・浴槽・トイレ・排水口など

ナチュラルクリーニングの代表ともいえる重曹は、家じゅうのあらゆる場所で使用できる洗剤として馴染み深いアイテムです。
粒子が細かくクレンザーとしての役割を果たすだけでなく、発砲作用を利用し五徳の焦げ付きや、急須の茶渋を取り除くなど用途は多様です。

食用として使われることもある重曹は、ベーキングパウダーなどにも含まれており、口に入るものに使用しても安全です。
家庭内の8割程度の汚れは酸性であり、重曹の持つアルカリ性が酸性の性質を中和し、汚れの除去や消臭効果に一役買います。

【セスキ炭酸ソーダ】・・・弱アルカリ性洗剤

♦用途:コンロ・グリル・冷蔵庫。電子レンジ・窓・浴槽・トイレ
    シンク汚れ・排水溝など

セスキ炭酸ソーダのpHは9.8であり、重曹(pH8.2)と比べるとアルカリ性がやや高いことが分かります。
油汚れに適したセスキ炭酸ソーダは、キッチン周りや手あか、皮脂汚れの除去に最適な洗浄剤です。
天然素材が材料とはいえ洗浄力は高く、使用後はすすぎやふき取りを必要とします。
水に溶けやすい点も特性であり、セスキ水をスプレーにして吹きかければ油汚れで目立つコンロ・グリル周りがスッキリと磨きあがります。

【クエン酸】・・・酸性洗剤

♦用途:鏡・蛇口の水あか・食洗機・水切りかごの水あか
    加湿機内の水あかなど

酸性の性質を持つクエン酸は、抗菌作用や消臭効果のある洗剤です。

酸の力でアルカリ性汚れやアンモニア臭を打ち消すだけでなく、
水あか汚れの除去に最適であり、電気ポット内にできる結晶化した白い水あかのクリーニングなど食器にも使える安心の洗剤です。

使用時の注意点として、製品を痛める恐れがあることから鉄や大理石、セメント等には使用しないよう気を付けましょう。

※塩素系との併用不可

【アルコール】・・・中性洗剤

♦用途:家具調理器全般・床・家具・畳・エアコン本体・浴室・トイレ
    クローゼット内・除菌など

近年馴染み深くなったアルコールは殺菌・除菌効果に優れ、油汚れや皮脂汚れは溶解作用により除去することができます。

水に弱い家電製品の汚れも、揮発性の高いアルコール成分を利用し掃除をすることが可能であり、畳や押し入れの中などカビの発生を抑制する効果も期待できます。
アルコールは引火性が高いため、火気厳禁という点はしっかりと覚えておきましょう。

【過炭酸ナトリウム】・・・弱アルカリ性洗剤

♦用途:コンロ・グリル・トイレ・洗濯槽・まな板除菌など

過炭酸ナトリウムは別名”酸素系漂白剤とも呼ばれ、布製品や食器の漂白に用いることができます。
特徴は発泡作用にあり、泡の力を利用して五徳やコンロ周りの油汚れを除去する際に有効です。
お湯とともに使うことを基本とし、50℃~60℃といった熱めのお湯で、洗濯槽や排水溝のこびりついた汚れを落すことができます。
その他消臭・除菌効果もあり、多方面で使える洗剤です。
※ウールやシルクには使用不可

【せっけん】・・・弱アルカリ性洗剤

♦用途:油汚れ・シンクの汚れ・排水溝・衣類汚れなど

せっけんはアルカリ性の性質を持つことから酸性汚れに有効であり、靴下の黒ずみや衿の皮脂汚れを除去する際に役立つシンプルな洗剤です。

原料は天然油脂とアルカリであり、材質をさほど傷めずに掃除ができるためお手軽で失敗のない洗浄剤でしょう。
衣類やエアコンのフィルター掃除、排水溝周りの汚れ除去に向いています。

ナチュラル洗剤の使い方

市販の合成洗剤はフタを開ければすぐに使用できますが、ナチュラル洗剤は使用箇所に応じた使い方を分けることで、より汚れ落ちの効果を高めてくれます。


大まかな使い方は次の3通りです。

1. 粉のまま使用する

2. 水またはお湯で溶かしスプレーにする

3. ペースト状にする

例えばバスルームの頑固な黒カビは、スプレーや粉を振りかけるだけでは対処ができません。
塩素系漂白剤をペースト状にしたり、
または洗浄剤にキッチンペーパーなどを浸し、
カビが目視できる部分にパッキングをするなど、洗剤の使い方次第で結果が大きく変わります。

以下は、ナチュラル洗剤の使い方について簡単に説明したものです。目的に合った洗浄剤を作ることで、ラクに効率的に掃除をしていきましょう。

■ 重曹の使い方

・粉のまま使用する

・スプレーにする <小さじ1/2:お湯1カップ(40℃)>

・ペーストにする <小さじ2:お湯大さじ1>

重曹は研磨力があるため、柔らかくデリケートな材質のもの(プラスチックや漆器)は傷つきやすいため重曹水を使用してください。

※重曹は水で溶けにくいためお湯を使用し、重曹水は1日で使い切りましょう。

■ セスキ炭酸ソーダの使い方

・粉のまま使用する

・スプレーにする <小さじ1/2:水500ml>

※pHがやや高く、肌を痛める可能性があるため、ゴム手袋の使用を推奨します。

■ クエン酸の使い方

・粉のまま使用する

・スプレーにする <小さじ1.5:水1カップ>

※塩素系洗浄剤と混ぜると有毒ガスが発生します。
大理石は溶けたり、鉄製品は錆の原因にもなるため、これら2つへの使用は避けましょう。

■ アルコールの使い方

・スプレーにする <60ml:水140ml>

※アルコール水は容器でつくり、良く混ぜたのちにスプレーボトルへ移しましょう。アルコール濃度が高ければ肌を痛める可能性があるため分量を確認し、使用する際は換気を行いましょう。

■ 過炭酸ナトリウムの使い方

・お湯に溶かし浸け置く <小さじ1強:お湯1ℓ(50℃~60℃)

ペースト <大さじ2:液体せっけん大さじ1+水少々>
洗濯槽への使用 <2カップ:お湯最大量(50℃~60℃)>
排水溝への使用 <小さじ1+熱湯をそそぐ>

※過炭酸ナトリウムは化学反応により、水分を含むと炭酸ソーダとなります。このとき漂白力を失うことから、保管の際は水気を避けた場所を選びましょう。

洗剤類のまとめ

こちらの章では、合成洗剤・ナチュラル洗剤について、その成分や作用、効果といった詳細を学んできました。
それぞれにメリット・デメリットがあり、用途別に使い分けることで上手な汚れ落としが実現します。

使い勝手の良さや体質に合った洗浄剤選びは、快適な掃除をスタートさせるにあたり大切なポイントです。
汚れと洗剤の力関係、そして適当な道具を使用することで、
これまで大変だと思っていた掃除時間が、気持ちの良い時間となるかもしれません。

次のページでは”汚れの科学”に迫り、家庭内にはびこる汚れがどのように発生するのか、その仕組みについて理解を深めていきます。

汚れが落ちるメカニズムをひも解けばそこは科学と密接な関係があり、
身近で起きている化学反応を学ぶことで汚れが落ちる仕組みが見えてきます