Lesson3-2 洗剤の種類

汚れには種類があることを知っていますか?

例えば砂糖や塩、コーヒー、水性ペンなど、水洗いで対応できるものは水溶性であり、
肉の脂や化粧品、クレヨンなど、油を含むものは脂溶性に分類されます。
脂溶性の汚れは水で洗っても落ちないことは、普段の経験から感覚的にわかる方も多いかもしれません。

Lesson4-1に記載の“掃除にまつわる科学の話”でも学びますが、
油や皮脂は界面活性剤の働きで汚れを浮かせ、分解することで除去を行います。

一般的な洗濯用洗剤は中性洗剤であり、成分中に界面活性剤を含むため、その力で皮脂汚れを洗い流し、衣類を清潔に保つことができています。

衣類に関わらず、汚れはそのものに適した洗剤を選択しなければ、思い通りの結果にたどり着くことができません。
家庭内の汚れを細かく見て行けば、洗濯槽のカビやテレビ画面に付着した手あかなどその種類は様々あり、科学の力を借りて理に適った方法で対処していく必要があります。

では、どのような洗剤がどのような場所で効力を発揮するのでしょうか。
私たちの身近にある洗剤には、化学成分を含む洗浄剤自然由来のナチュラル洗剤が存在します。
それぞれ成分が異なるため、2種類の特性を考慮し、
目的や自身の体質に合った商品を選ぶことで、気持ちの良い掃除をスタートさせていきましょう。

※塩素系洗浄剤と酸性洗剤の併用は有毒ガスを発生させ、重大な事故に繋がります。
塩素系を水以外のものと混ぜるは大変危険な行為です。
用法用量を守り安全に使用しましょう。

化学成分の力で汚れを落とす洗浄剤

化学成分を含む洗浄剤とは、店頭で見かける掃除用・洗濯用洗剤を指し、
バスマジックリンやトイレのルックといった馴染みの深い商品は、各家庭で定番の掃除洗剤として定着しています。

ラベル裏面の成分表示には商品名のほかに、洗浄剤や漂白剤といった品名やpH(ペーハー)を表す液性などが記載され、製品の用途が明確に記されています。

洗浄剤には汚れの除去や分解を手助けする成分が豊富に含まれ、
溶液内の化学成分が効率的で効果的な汚れ落ちを叶えてくれます。

一般的な洗浄剤は、40℃から50℃の一定の温度で洗浄作用が高まり、
お掃除プロは湯せんで洗剤の温度を高め使用するなど、効果を引き出すワザで室内を磨き上げていきます。

ナチュラル洗剤

ナチュラル洗剤とは、自然由来の天然成分を主成分とした洗剤のことです。
セスキソーダや重曹、クエン酸などは
身体にも環境にもやさしい洗浄剤として親しまれています。

経済的であると同時に、何よりも安心安全という点がメリットであり、
小さなお子さまやペットを飼っているご家庭でも安心して使える便利な洗剤です。

ナチュラル洗剤を使用する掃除方法をナチュラルクリーニングと呼ぶなど、
エコ意識が高まる近年では注目度も上がり、活用する方が増えています。

合成洗剤に比べ、洗浄力が見劣りするのかといえば決してそうではなく、
それぞれの素材が持つ特性を理解し道具と合わせて使えば、
しっかりと汚れを除去することができます

自然由来の成分で掃除をすることは、安心感を得られるだけでなく、
どんな部分にも気にせず使えるところが魅力的です。

液性(pH)とは

pH(ペーハー)という単位を聞いたことはありますか?pHとは液性を示す物理量であり、水素イオン濃度のことを指します。

pHは0から14まであり、中央値であるpH7付近を中性とし、pH7以下を酸性、pH7以上をアルカリ性と呼び、その高低により液性が変わります。

液性により、洗浄力の強弱や材質への傷み方、身体への影響も大きく左右されるところです。
そのため、用途や材質を考えたうえで、適切な濃度の洗浄剤を選ぶよう注意を払うことが大切です。

汚れのパワーバランス

汚れには力関係が存在します。

お掃除プロは汚れの吸着に対して脱着できる成分をあてがうことで、効果的な分解・除去を狙います。

例えば肉の脂が水ではなくお湯で溶かせるように、物質には吸着しやすい性質と脱着が容易にできる性質のものがあります。
汚れに対するパワーバランスを理解することで、掃除は格段に楽になるでしょう。

次のページから説明する洗剤各種は、その特性とともに汚れの力関係について触れていきます。
掃除箇所や対象の汚れに対し、液性との相性を認識しておくと実践で役立ちますので、理解を深めていきましょう。